ブハラの七人のピールは、市街を取り巻く村々に眠るホージャガーン(ホジャガン)の師たちです。各聖者の人物像、聖廟の場所、ルートの所要時間、そして敬意をもって訪れるための心得をご紹介します。
情報・料金・時刻表は2026年11月4日時点で確認済み
ブハラの七人のピール(ウズベク語でイェッティ・ピール)は、市街周辺の村や小さな町に墓所を持つ七人のスーフィーの師です。彼らは12世紀のホジャ・アブドゥルハーリク・ギジュドゥヴァニーから、14世紀のバハウディン・ナクシュバンドまで続く師弟の連なり、ホージャガーンを形づくっています。ナクシュバンディー教団の名は、このバハウディンに由来します。七つの聖地を順に巡ることは、中央アジアで最も古い巡礼の一つであり、トルコ、パキスタン、インド、マレーシア、インドネシアなどから訪れる多くの人々にとって、ブハラを目指す理由そのものでもあります。
ウズベキスタンのズィヤーラ(聖地巡礼)全般については、総合ガイドで国内の聖地をご紹介しています。本記事では七人のピールに絞り、それぞれの師がどのような人物だったのか、聖廟はどこにあるのか、車でのルートにどれほど時間がかかるのか、そして墓前でのふるまい方を詳しくお伝えします。
ブハラの七人のピールとは?
ピールとは精神的な導き手を意味します。ブハラの七人のピールは、ホージャガーン(文字どおり「師たち」)の師にあたり、マーワラーアンナフル(トランスオクシアナ)で教えを世代から世代へと受け継いだ系譜です。各々の師が次の師を育てたため、聖廟は師から弟子へという系譜の順に訪ねます。
系譜は、偉大なスーフィーの師ユースフ・ハマダーニーの後継者アブドゥルハーリク・ギジュドゥヴァニーに始まり、バハウディン・ナクシュバンド(1318〜1389年)で結ばれます。バハウディンの後、この道はナクシュバンディーヤとして知られるようになり、ブハラからインド、オスマン帝国領、コーカサス、マレー世界へと広がりました。中央アジアから遠く離れた多くのムスリムが、これらの村々に個人的な結びつきを感じるのはそのためです。
師たちの中には、大工、織工、陶工といった職人も少なくありません。彼らの教えは日々の仕事のただなかで生きるべきものとされ、ナクシュバンディーの道に伝わる「手は仕事に、心は神とともに」という言葉に集約されます。現地のガイドは各墓所でこのことを好んで語ります。それが、旧市街の壮大な建築群にはない、人の暮らしの温もりをこのルートに与えています。
七人のピールは、七つの別々の信仰ではありません。七つの場所にまたがって語られる、ひとつの物語です。巡礼する人々にとって、その順序は大切な意味を持っています。

最初の四人:ギジュドゥヴァニー、レヴガリー、ファグナヴィー、ロミタニー
- ホジャ・アブドゥルハーリク・ギジュドゥヴァニーは、ブハラの北東約40〜50km、車で約50分のギジュドゥヴァン町に眠っています。ナクシュバンディーの道の11の原則のうち、最初の8つを定めたとされ、一息一息への気づきや、声に出さない神の想起(ズィクル)などがその中に含まれます。墓所は、ウルグベクが1432〜1433年に建てたマドラサの傍ら、モスクと池のある庭園の中にあり、墓の上のドームは2003年に加えられました。ほとんどの方がここからルートを始めます。
- ホジャ・ムハンマド・アーリフ・レヴガリーは、ギジュドゥヴァニーの弟子で、12世紀にレヴガル村に生まれました。伝承では非常な長寿を全うしたと伝えられています。聖廟はギジュドゥヴァンから少し走ったショフィルコン地区にあります。
- ホジャ・マフムード・アンジール・ファグナヴィーは、師となる前は大工でした。系譜の中で初めて、神の想起を声に出して行った人物として記憶されています。ヴォブケント近郊の故郷、アンジルボグ村に葬られています。
- ホジャ・アリー・ロミタニーは「ホジャ・アズィゾン」、すなわち「敬愛する師」と呼ばれ、ロミタン出身の織工でした。地元の伝承では、モンゴルの貴人たちをイスラームに導き、モンゴル侵攻後の地域の再建を助けたとされています。聖廟はロミタン地区にあります。
この四つの聖廟は、ブハラのマドラサに比べると質素です。墓所の囲い、小さなモスクや礼拝室、中庭、そして井戸や池、古木があるのが通例です。各所に管理人がおり、地元の家族連れが一日を通して訪れます。
最後の三人:ババ・サマシー、アミール・クラール、バハウディン・ナクシュバンド
- ホジャ・ムハンマド・ババ・サマシーは、アリー・ロミタニーの後を継ぎ、バハウディン・ナクシュバンドの最初の師となりました。伝承によれば、バハウディンの誕生を予言し、まだ乳飲み子だった彼を精神的な息子として迎えたといいます。1354年に没し、ロミタン地区のサモス(サンモス)村に葬られています。聖廟には霊廟、モスク、井戸、庭園があります。
- サイイド・アミール・クラールは陶工(ウズベク語でクラール)で、学識とともにその力強さでも記憶されています。バハウディンの二人目の師であり、想起の修行を授けました。1370年に没し、ブハラの東にある生まれ故郷のスホル村に葬られています。複合施設の入口には服装規定の掲示があります。
- バハウディン・ナクシュバンドは七人目、最後のピールです。旧市街の北東10〜12kmにあるカスリ・オリフォンの廟群は、七つの中で群を抜いて大きく、開放的な墓所の囲い、16世紀のハーンカー、モスク、1885年建造の小さなミナレット、博物館、近くにある母の墓所からなります。ソ連時代には巡礼者に閉ざされていましたが、1993年から修復され、現在はユネスコ世界遺産「シルクロード:ザラフシャン・カラクム回廊」に含まれています。
最後の三人の順序は単なる地理上の並びではありません。バハウディンはまずサマシーに、次にアミール・クラールに学びました。系譜が終わる場所で、ルートも終わるのです。

七人のピールのルートにかかる時間は?
聖廟はブハラの北と東の複数の地区に点在し、市街から10〜60km、村の道沿いにあります。七か所すべてを一日で巡るには、車と運転手つきでおよそ10時間かかります。7:30に出発した場合の現実的な目安は次のとおりです。
- ブハラ〜ギジュドゥヴァン:約50分
- ギジュドゥヴァン〜ショフィルコン(レヴガリー):約20分
- ショフィルコン〜アンジルボグ(ファグナヴィー):約30分
- アンジルボグ〜ロミタン(ロミタニー):約35分
- ロミタン〜サモス(ババ・サマシー):約10〜15分
- サモス〜スホル(アミール・クラール):約45分
- スホル〜カスリ・オリフォン(バハウディン・ナクシュバンド):約30分
- カスリ・オリフォン〜ブハラ:約25分
移動時間は合計約4時間で、各区間は1時間を超えません。これに、小さな聖廟では各30分ほど、ギジュドゥヴァンで45分、バハウディン・ナクシュバンドで1時間以上、さらにズフル(昼の礼拝)と昼食に1時間を加えると、ブハラへの帰着は17:30頃になります。
これは通常のルートを車で回る場合の当社の目安であり、交通状況や道路工事、礼拝にかける時間によって変わります。村の標識はほとんどがウズベク語で、細い路地の奥にある聖廟もあるため、道を知らないタクシー運転手には向かないルートです。
七人のピールは一日で?それとも二日で?
一日で回る行程は、時間に限りのある巡礼者や、長い一日に慣れた旅行者に向いています。系譜が途切れることなく続くため、精神的な理由からこれを好む方もおり、夕方の光の中、バハウディン・ナクシュバンドで締めくくることができます。
二日に分ける行程は、ご家族連れ、年配の方、各墓所でクルアーンを読んだり静かに座ったりしたい方に向いています。自然な分け方は次のとおりです。
- 1日目:ギジュドゥヴァニー、レヴガリー、ファグナヴィー、ロミタニー、ババ・サマシー。ルートの西側の弧にあたり、夕方にはブハラへ戻ります。
- 2日目:アミール・クラールとバハウディン・ナクシュバンド。どちらも市街に近く、チョル・バクル墓地群や旧市街での午後と組み合わせられます。
日程に金曜日が含まれる場合は、男性が道中の金曜モスク(たとえばバハウディン・ナクシュバンドの廟群や、ブハラのカリヤン・モスク)でジュムア(金曜礼拝)を行えるようルートを組み、残りの聖廟は午後に訪ねましょう。
七人のピールをサマルカンドやタシケントと組み合わせる方も多くいらっしゃいます。2026年3月に再建・再開されたサマルカンド近郊のイマーム・ブハーリー廟群は、自然な組み合わせ先です。ウズベキスタンでのズィヤーラ・ツアーの計画については、4〜10日間の詳細なルートをガイドでご紹介しています。

七人のピールを訪れる際の服装
ここは地元の家族が毎日訪れる、生きた祈りの場です。七か所すべてで、次のような服装の心得が求められます。
- 女性:腕と脚を覆うゆったりした服装とスカーフ。ロングスカートでもワイドパンツでも構いません。入口でスカーフを借りられることもありますが、ご自身のものをお持ちください。
- 男性:長ズボンと袖のあるシャツ。短パンやノースリーブは、どの聖廟でもふさわしくありません。
- 靴:礼拝堂や一部の墓室では脱ぎます。一日に何度も脱ぎ履きするので、スリッポンだと便利です。
- 冬は暖かい靴下がおすすめです。小さな聖廟の床は石造りで暖房がありません。
外国人向けの別の服装規定はありません。ご自身のモスクを訪れるときと同じ装いであれば、ルートのどこでも歓迎されます。
七人のピールの作法:聖廟でのふるまい
聖廟ごとに独自のリズムがありますが、共通する心得は同じです。
- 管理人にご挨拶を。ほとんどの方がウズベク語とロシア語を話し、アラビア語を少し話す方も多くいます。ガイドが通訳します。
- 墓前では、巡礼者は通常アル・ファーティハを唱え、静かにドゥアー(祈願)を捧げます。クルアーンの数節を読む方も多く、管理人がグループのために短い詠唱を先導することもあります。
- 墓所の囲いに触れる、聖なる木の周りを歩く、布切れを結ぶ、井戸の水を飲むなど、ご自身の国とは異なる地元の習慣を目にすることがあります。従う人もいれば、そうでない人も多くいます。外国からの訪問者に参加を求める人はおらず、ただ祈って立ち去っても、誰も何も言いません。
- 声は低く保ち、礼拝中の人の前を横切らないようにしましょう。
- 写真撮影は、中庭や建物であれば問題ありません。礼拝中の人は撮影せず、墓室やモスクの中で撮影する際は事前に許可を求めてください。
- ほとんどの聖廟に寄付箱があり、維持管理に役立てられています。寄付は歓迎されますが、義務ではありません。ウズベク・スムの小額紙幣が一般的ですので、現金をご用意ください。
バハウディン・ナクシュバンドは、金曜日や宗教的祝日、9月のナクシュバンディー祭の期間中は混雑することがありますが、村の聖廟は静かなことが多いです。そうした日は、大きな複合施設での時間を多めに取りましょう。

七人のピールのルートでの礼拝
礼拝の場所は簡単に見つかります。ほとんどの聖廟にモスクか礼拝室があり、近くにウドゥー(清め)の場所もあります。ズフルは昼食の頃にロミタンかサモスで、アスル(午後の礼拝)は季節に応じて午後遅くに聖廟のモスクで、というのが自然な流れです。
ウズベキスタンの礼拝時刻は、ウズベキスタン・ムスリム宗務局が公表するハナフィー法に従っているため、マレーシアやインドネシアで使われるシャーフィイー法の時刻表よりもアスルが遅くなります。ご自宅で用いている方式を保つ旅行者も多く、ガイドはどちらの場合にも合わせて立ち寄り先を計画します。
女性用スペースは場所によって異なります。バハウディン・ナクシュバンドの廟群には女性用のスペースがあり、すべての墓所と中庭で女性も歓迎されますが、村の小さなモスクには男女の区画がないところもあります。祈る場所はガイドか管理人がご案内します。ウズベキスタン全土の礼拝室、モスク、金曜礼拝については、ハラール旅行ガイドでさらに詳しくご紹介しています。
七人のピールを訪れるのに最適な時期
最も快適なのは、春(3月下旬〜5月)と秋(9月〜11月初旬)で、日中の気温はおよそ18〜30°Cです。ただし、ルートは一年中利用できます。
- 夏(6月〜8月)はブハラ地方では非常に暑く、午後は38〜42°Cになることも珍しくありません。聖廟には木陰がありますが、中庭や駐車場は日差しを遮るものがありません。6:30に出発するか、ルートを二日の午前に分けましょう。
- 冬(12月〜2月)は寒く曇りがちで、朝は霜が降りますが、聖廟は静かで光も柔らかです。
- 9月にはブハラで国際ナクシュバンディー・ツーリズム祭が開かれます。2026年は9月17日から23日まで行われ、招待客のために公式の「イェッティ・ピール」ルートが組まれました。この週はバハウディン・ナクシュバンドが混み合います。
- 2027年のラマダーンは、月の観測次第ですが、2027年2月8日頃に始まる見込みです。聖廟は開いており、断食中の一日は二日間の行程のほうが楽に過ごせます。

七人のピールを越えて:ブハラ周辺のその他の聖地
ブハラでの滞在に余裕があれば、次のような場所を加えるとズィヤーラがより充実します。
- チョル・バクル:市街の西約6km。サイイドでありナクシュバンディーの師の家系であるジュイバリ・シャイフたちの墓地群で、家族の墓が並ぶ中庭、モスク、ハーンカーがあります。
- ボロ・ハウズ・モスクと、カリヤン・ミナレットの傍らにあるブハラ随一の金曜モスク、カリヤン・モスク:前者は背の高い木の柱で知られ、どちらも現役のモスクです。
- チャシュマ・アイユーブ:地元の伝承で預言者アイユーブ(ヨブ)ゆかりとされる泉で、10世紀のサーマーン朝廟の隣にあります。
- ギジュドゥヴァンの家族経営の陶器工房:ルートの最初の区間で立ち寄れる場所です。
バハウディン・ナクシュバンドの廟群や、サマルカンド、タシケントの主な聖地については、ウズベキスタンのズィヤーラガイドでご紹介しています。
TourEastで巡る七人のピール
当社のチームはタシケントに加えてブハラにも拠点を置き、七人のピール専用のズィヤーラをご用意しています。礼拝のための立ち寄りとハラールの昼食を組み込み、七つの聖廟を順に巡るプライベートの日帰りツアーと、ゆったりしたペースをお望みの方のための3日間の七人のピール・プログラムです。いずれも各師の歴史に通じたガイドがご案内し、インドネシア語、マレー語、アラビア語のガイドもご希望に応じて手配可能です。日程と人数をお知らせいただければ、礼拝の時間に合わせてルートを組み立てます。





